胃がん

胃がんとは

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜ががん細胞に変化し、増殖していく疾患です。粘膜に生まれたがん細胞は、徐々に胃の壁の外側に拡大していき、周囲の臓器に転移していきます。また、血液やリンパ液の流れに乗ると、離れた臓器にまで転移が及ぶこともあります。このように、胃がんは進行すると全身に広がっていき、命の危険を伴う重篤な疾患です。
胃がんにはいくつか種類があり、特に有名なのがスキルス胃がんです。これは、胃の壁の中を広がっていくタイプの胃がんで、早期発見が難しく、症状が進行してから見つかることの多い特徴があります。


胃がんの原因

胃がんの原因には様々なケースが考えられますが、食生活の面では塩分過多の食事や食物繊維の不足が挙げられます。その他では、喫煙も主要な原因の一つです。しかし、最も多いのがピロリ菌の感染になります。長期間ピロリ菌に感染すると、継続的に胃粘膜が炎症を起こし、胃粘膜の細胞ががん化するようになります。実際に、日本の胃がん罹患者のうち98%にピロリ菌感染が確認されています。
以上の理由から、ピロリ菌の感染が確認された際には、できるだけ早い段階で除菌治療を行うことが大切です。


胃がんの種類

分化型胃がん

分化型胃がんとは、がん細胞が正常な胃組織に近い形態をしている胃がんです。進行は比較的緩やかで、周囲の組織に拡大するスピードが遅い傾向があります。

未分化型胃がん

未分化型胃がんとは、がん細胞が原始的な形態をしており、正常な胃組織とは大きく異なる形状をしている胃がんです。進行が速く、早期に周囲の組織に拡大する恐れがあります。

リンパ上皮性胃がん

リンパ上皮性胃がんとはリンパ腫に似たがんで、胃のリンパ上皮から発生します。胃壁を圧迫して拡大していく特徴があります。

スキルス胃がん

スキルス胃がんとは、胃壁を厚く硬化させながら進行する胃がんです。未分化型が多く、早期の発見が難しい傾向があります。周囲の臓器やリンパ節に拡大しやすく、進行が速いことが特徴です。


胃がんの症状

胃がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、症状が現れる頃にはかなりがんが進行している場合があります。主な胃がんの症状は、胃痛胸焼け、違和感、吐き気、飲み込みにくさ、食欲不振などが挙げられます。これらの症状は、胃炎をはじめとした多くの消化器疾患と共通しているため、症状のみで胃がんを特定することは難しいとされます。
胃がんの早期発見には、胃カメラ検査が有効です。したがって、無症状な状態でも定期的に胃カメラ検査を受けることを推奨しています。


胃がんの検査

当院では、胃カメラ検査を実施しています。胃カメラ検査では、胃がんの診断だけではなく、胃がんの主原因と言われているピロリ菌感染の有無についても調べることができます。
当院の胃カメラ検査では、富士フイルム社の「ELUXEO8000内視鏡システム」を導入しているため、僅かな病変や微細な変化についても、見逃すことなく詳細に観察することが可能です。

胃カメラ検査


胃がんの治療

まずは胃がんの治療方針を検討するために、がんの深さや浸潤の程度、転移の有無などを調べ、進行度を診断します。それら結果を総合的に判断し、内視鏡的切除や外科手術、抗がん剤治療など、適切な治療を選択していきます。その他、患者様の年齢や体調、ライフスタイルなども考慮し、患者様と相談しながら治療方法を検討します。なお、胃がんが確認された場合には、必要に応じて専門の高度医療機関を紹介させていただきます。
早期の胃がんの場合は、内視鏡的切除による治療が可能です。この治療法は、身体への負担が少ない上、胃を全て残すことができるため、治療後の食事への影響も最小限に抑えることができます。
胃がんは早期発見・治療によって根治できる疾患のため、定期的な胃カメラ検査をお勧めしています。当院では胃がんの患者様に対して、術後のフォロー体制も整えておりますので、お気軽にご相談ください。

監修:横浜わたなべ内科・内視鏡クリニック 鶴見院 院長 石部 敦士

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