血が混じる下痢

以下のような症状が現れた際には、医療機関を受診しましょう

血便・便に血が混じる・トイレットペーパーに血が付着する

血便や便に血が混じる、トイレットペーパーに血が付着するといった症状は日常的に起きますが、自己判断は危険です。これら症状は痔が原因であることが多いですが、痔以外にも大腸がんなど重篤な疾患の可能性もあります。また、大腸ポリープで便に血が混じることもあります。
大腸がんは、初期の段階では自覚症状が少ないまま進行します。したがって、血便などの症状が現れた際には、すでに症状がある程度進行している恐れもあるため、大腸・肛門の両方の状態を医療機関で確認してもらいましょう。

嘔吐・下痢・発熱を伴う

嘔吐や下痢に加えて発熱や腹痛などの症状を伴っている場合は、感染性腸炎の疑いがあります。

下痢が長期間続く

下痢は比較的身近な症状です。胃腸の調子が悪化したり食べ物にあたるなどすると、お腹を壊して下痢になります。1〜2日程度の下痢で他に症状がなければ、自然に治癒するのを待ったり、市販の薬で治すという人も多いです。
ただし、下痢が何日も続く場合には注意が必要です。このような場合は、感染性腸炎や細菌・ウイルス性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などの疾患の可能性があります。また、大腸がんでも、便が緩くなる症状が現れることがあります。いずれの疾患が疑われる場合も、大腸カメラ検査で確定診断することが可能です。

下痢と便秘を繰り返す

下痢と便秘の症状を繰り返すのは、過敏性腸症候群の特徴的な症状です。ただし、大腸がんなど他の疾患の可能性もありますので、精密検査を行なって鑑別する必要があります。鑑別には大腸カメラ検査が最適です。

お腹が張っている

お腹が張っているが痛みを伴わない場合は、腸内にガスが溜まっている可能性が高いです。慢性的な便秘の方によく見られる症状ですが、大腸がんの場合でも通気が悪くなり、ガスが溜まることがあります。検査では、必要に応じて大腸カメラ検査を行います。

便潜血検査で陽性だった

便潜血検査では、肉眼では確認できないほどの僅かな血液を検出することができます。便潜血検査で陽性判定が出た場合は、大腸がんや大腸ポリープの病変部と便が接触して血が混入している可能性があります。その他、痔によって便に血が混じることもあるため、大腸と肛門の両方を検査して、便潜血の原因を特定することが大切です。


大腸の疾患

大腸ポリープ

大腸ポリープの自覚症状はほとんどないため、気づかないうちに進行している場合があります。一般的に、過形成性ポリープの場合はがんになる可能性がほぼなく、腺腫の場合は良性でもがんになる可能性がある、と言われています。ポリープの切除は大腸内視鏡によって行うことができますので、がん化する可能性が高いものは積極的に切除しておく方がよいでしょう。当院では、大腸ポリープの切除を日帰りで行うことができます。

大腸ポリープ

潰瘍性大腸炎

に応じて内服薬や点滴、血球成分除去療法、手術などが選択されます。また、一度症状が落ち着いてからも、定期的に検査を受ける必要があります。

潰瘍性大腸炎

感染性腸炎

感染性腸炎とは、腸が異物によって感染することで様々な症状を引き起こす感染症です。主な症状は、吐き気や嘔吐、下痢、発熱、血便などになります。病原体には細菌やウイルス、寄生虫などがあり、食品や水を介して感染したり、人から人への接触感染を起こすこともあります。対処療法によって症状は改善していきますが、小さい子どもや高齢者の場合は脱水症状を起こしやすいため、注意が必要です。症状によっては、点滴や入院が必要になる場合もあります。

病原微生物 潜伏期間 臨床症状 感染源、診断のポイント 治療 投与期間
コレラ菌 1~3日間 ・激しい下痢
・脱水症状
・嘔吐
・発熱がない
・比較的近い時期に海外渡航歴がある ニューキノロン系 3日間
赤痢菌 1~5日間 ・腹痛
・嘔吐
・発熱
・血清蹴り
・しぶり腹

・保育園など施設内の発生
・比較的近い時期に海外渡航歴がある

ニューキノロン系 5日間
腸管病原性大腸菌 8~48時間 ・腹痛
・発熱
・下痢
・吐き気
・嘔吐
 

ニューキノロン系

3日間
細胞侵入性大腸菌 8~24時間 ・腹痛
・発熱
・粘血便
・膿粘血便
  ニューキノロン系 3日間
毒素原性大腸菌 4~48時間 ・下痢
・腹痛
・耐熱性毒素(ST)
・易熱性毒素(LT)
ニューキノロン系 3日間
腸管出血性大腸菌 2~14日間 ・腹痛
・鮮血便
・稀にHUSを続発
・O-157による感染
・ハンバーガーショップ
・牛料理屋
・血清型
  3日間
サルモネラ属菌 12~36時間 ・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・下痢
・血便
・発熱

・鶏卵による腸炎
・肉製品
・乳製品

ニューキノロン系 3~7日間
腸炎ビブリオ 4~28時間 ・下痢
・粘血便
・激しい上腹部痛
・発熱
・生魚介類
・生魚介類の加工食品
対症療法  
カンピロバクター 2~11日間 ・発熱
・頭痛
・吐き気
・嘔吐
・腹痛
・下痢
・粘血便
・ごく稀にギラン・バレー症候群を併発

・食用肉(主に鶏肉)

・比較的潜伏期間が長い
・大腸内視鏡検査による診断

マクロライド系 3~5日間
黄色ブドウ球菌 2~3時間 ・腹痛
・下痢
・激しい吐き気
・嘔吐
・発熱がない
・ポテトサラダ
・アイスクリーム
・牛乳
など
対症療法  
結核菌   ・下痢
・腹痛
・便秘
・下血
・腹部膨満感
・腹部腫瘤
・発熱
・体重減少
・クオンティフェロン
・回盲部の潰瘍

INH,RFP、SM

6~9カ月間
ディフィシル菌   ・吐き気
・嘔吐
・下痢
・粘血便
・腹痛
・腹部膨満感
・便中CDトキシン
・抗菌薬の服用歴

抗菌薬中趾

バンコマイシン
5~15日間
赤痢アメーバ   ・腹痛
・下痢
・いちごゼリーにような粘血便

・肝膿瘍
・海外旅行歴
・男性同性愛者

メトロニダゾール 10日間
ノロウイルス 1~2日間 ・下痢
・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・発熱
・冬場に蔓延
・カキ・二枚貝の生食
対症療法  
糞線虫   ・腹痛
・下痢
・吐き気
・便秘
・麻痺性イレウス
・重症化すると体重減少
・保虫者の多くは無症状

・検出には普通寒天平板法を適用
・鹿児島県・沖縄県出身者

イベルメクチン

2回/2週間隔

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、腸の過敏性によって起こる疾患と言われていますが、まだはっきりとした原因は分かっていません。主な症状は、腹痛や便秘、下痢などになります。特に、便秘と下痢を繰り返すことが過敏性腸症候群の特徴的です。治療では、食事療法を中心とした生活習慣の見直しや整腸剤、ストレスを緩和する薬などで症状を改善させることができます。ただし、これら症状は他の腸疾患でも起きるため、疾患の鑑別も重要になります。

過敏性腸症候群

大腸憩室症

大腸憩室症とは、大腸の粘膜が外側に出っ張って袋状になった憩室内で出血や炎症を起こす疾患です。主な症状は、発熱や腹痛、吐き気、嘔吐などになります。大腸憩室症の原因は、先天的のものと後天的なものに分けられ、後天的なものの場合は、近年の食生活の欧米化が原因で発症していると考えられています。
治療では、抗生物質の投与やドレナージ術などが適用されます。出血が多い場合は、大腸カメラで止血したり、動脈塞栓術などを行う必要があります。これらの方法でも止血できない場合は、大腸を切除するケースもあります。その他、憩室内で重篤な穿孔を起こしている場合には、緊急手術が必要になります。その際には入院が必要であったり、再発の恐れも考慮して、専門の医療機関で適切な治療を受ける必要があります。

大腸がん

大腸がんは、大きく分けて結腸がんと直腸がんに分類することができます。盲腸~S状結腸までに生じるがんが結腸がん、直腸~肛門までに生じるがんが直腸がんとなります。いずれの場合も、腸の粘膜ががん化することで発症します。
大腸がんは、近年の食生活の欧米化や高齢化によって罹患率・死亡率が上昇傾向にあります。初期の段階では自覚症状がほとんどないため、定期的に大腸カメラ検査を受けることが大切です。

大腸がん

下痢に関するページ

監修:横浜わたなべ内科・内視鏡クリニック 鶴見院 院長 石部 敦士

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