大腸ポリープの切除方法・ポリープ検査結果の説明

大腸ポリープ切除について

当院では、大腸カメラ検査中に大腸ポリープや早期大腸がんが発見された場合は、そのまま切除が可能です。ポリープ切除となった場合は、最短で3回の来院で終了します。
ただし、ポリープの大きさや数、また抗血栓薬を内服している場合は、ポリープを切除できません。1回で切除できるポリープの数は5個程度のため、それ以上の場合は2~3回に分けて切除を行います。また、切除できる大きさは1.5cm以下が目安となるため、2cm以上の場合は、連携する医療機関を紹介いたします。
検査でポリープ切除をされた場合は、検査後1週間は飲酒、運動、旅行はお控えください。
なお、当院の治療器具は全て使い捨てのため、院内感染の心配もなく安全です。

内視鏡的ポリペクトミー(コールドポリペクトミー)

内視鏡的ポリペクトミーとは、5~10mmのポリープを切除するための方法です。
従来の方法では、電気メスで大腸ポリープを焼き切るのが主流でしたが、ポリープ切除後に出血を起こしたり、腸に穿孔ができるなどの合併症を起こすことがあります。
当院では、通電のない内視鏡的ポリペクトミーでポリープ切除を行います。この手法では、血液をサラサラにする薬を服用中の方でも、切除後の出血が極めて低いと報告されています。また、心臓ペースメーカーや金属製ステントを留置している方にも安全に行うことができます。切除後に少量の出血が起きても、数分で止血します。
なお、内視鏡的ポリペクトミーは通常のポリープ切除と同じ治療費となります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)とは、大腸カメラ検査の際に発見された平坦なポリープや早期大腸がんを切除するための方法です。
ポリープや大腸がんは、腸の表面の粘膜層と呼ばれる層から発生して成長します。この術式では、粘膜層のすぐ下の粘膜下層に生理的食塩水を注入することで粘膜層を持ち上げ、ポリープを切除していきます。これにより、筋肉より深い層(腸に穴があいてしまう層)に通電することを防ぐことができます。


大腸ポリープ切除に伴う合併症について

大腸ポリープは大腸がんの前がん病変であるため、大腸カメラ検査の際に大腸ポリープを切除しておくと、大腸がんを予防することができます。切除自体は、経験豊富な医師が行えば安全に行うことができますが、中には、極めて稀なケースとして出血や穿孔などの合併症を引き起こすことがあります。
具体的な合併症の内容は、以下となります。

術後出血

ポリープを切除した際、切除部位から出血を起こすことがあります。ポリープ切除後の合併症の中では最も多い症例となりますが、確率的には1%以下の頻度という、極めて稀なケースとなります。このような術後出血は、どんなに熟達した医師でも100%防ぐことはできません。
出血は切除後2~3日以内に起こることが多く、1週間以上経過すると出血の可能性はほぼなくなります。便に血液が混じる程度の少量の出血の場合は自然に止血されますので、安静にして経過観察するだけで問題ありません。しかし、便全体が血液で染まるほど大量の出血を伴う場合は、内視鏡を使って止血処置を行う必要があります。

大腸穿孔

大腸カメラ検査による大腸ポリープ切除の際に、大腸に穿孔が起きるのは極めて稀なケースで、数千分の一の頻度です。穿孔は、主にサイズの大きなポリープを強引に切除したり、切除時に通電し過ぎた場合に起こります。
穿孔は切除後2~3日以内に起こることが多く、1週間以上経過すると可能性はほぼなくなります。万が一大腸穿孔が起きてしまった場合は、緊急の開腹手術が必要となります。


大腸ポリープ病理検査の結果について

大腸カメラ検査の際にポリープを発見・切除した場合は、顕微鏡で病理診断が行われます。腫瘍には良性と悪性の2種類があり、ポリープは良性、がんは悪性となりなす。これらは、はっきりとした境界線があるわけではなく、良性のポリープでも放置すると徐々に悪性度を増してがんに変化します。なお、良性と悪性の中間である中間病変と診断された場合は、判定する病理の先生によって良性か悪性かの判断が異なることもあります。

腫瘍を体系的に分類する基準は以下となります。

Group1 正常もしくは非腫瘍性病変
Group2 過形成(低いリスク):典型的過形成、腺腫と過形成の中間
Group3 軽度~中等度異型腺腫:腺腫に近い過形成、 low grade 腺腫
Group4 高度異型腺腫:high grade 腺腫
Group5 がん

監修:横浜わたなべ内科・内視鏡クリニック 鶴見院 院長 石部 敦士

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